かなりニッチな英語教材(受験教材)になってしまいますので、英語の比重が大きい大学を目指し、時間に余裕のある受験生(大学受験or浪人生)か、社会人にオススメします。
私は1年の浪人生活を経て、東京の某外国語大学に合格しました。そのとき、肌身離さず繰り返し使った教材が、
『思考訓練の場としての英文解釈 (1) 』(多田正行著、育文社)
これによって、英語の基礎がかたまり、応用がきくようになりました。このシリーズは1~3まであるのですが、ぶっちゃけ1だけで十分といえます。
この著者の多田正行氏は、他の英語受験教材の解説の仕方とは、違う切り口で説明しており、それが非常に新鮮です。基本的な文法事項と基本的な英単語や表現は知っている前提ですので、ある程度の文章が読める程度で、もっと難しいものも読みたい!レベルを上げたい人にはお勧めします。
そして、肝心なその違う切り口とはどういうことかというと、
① 因数分解型STRUCTURE ② 名詞化表現の解析 ③ 対照(CONTRAST)と照応(SEQENCE)
大体、因数分解って数学の分野ですが、それを英語という言語教科に適用するところが天才的ですよね。英語にすでに精通している人にとっては当たり前の話かもしれませんが、①の因数分解型の簡単な例をあげてみます。
“a crown”にかかっているのは、”not of gold” だけでなく、”of flowers”もなんですね。
つまり、a(x+y) = ax + ay が当てはまります。英語の文章では、繰り返しを避けるために上記のような書き方がされますが、英語をはじめての外国語として勉強するほとんどの日本人にとっては画期的なのでは?と思います。
また、② 名詞化表現の解析の簡単な例をあげてみますと、
“the rise of sun” という表現、日本語に訳すと「日の出」ですが、このofを挟んだ名詞を主語・述語に置き換えると、”The sun rises “(S + V)となります。こうすると、日本語では「太陽が昇る」と訳すことができ、すんなり意味が伝わります。
英語は、名詞中心で、日本語は主語・述語で解釈する動詞中心ということを知っているだけでも、難解な文章での名詞化表現も、つまずくことなく、すんなりと理解できるようになるのです。
(※あげた例は本当に簡単なものですが、難しい問題はぜひこの本の中で)
高校3年生の時は歯もたたなかった国立の個別英語試験問題ですが、これを2~5周したころには、受験英語のみならず、BBCやThe Guardianのニュース記事を読んだり、ジョーズ・ウェルズの「1984年」を読了することもできました。今の私があるのは、この本のおかげといっても過言ではありません。東大やICUの英語をひたすら解きまくっていた浪人生活が昨日のことのようです(笑)
その後、ロシア語、スペイン語と勉強していますが、いまだにこの本で習得した、外国語文章の解釈法というのは、脳みそに染み込み、目にこそ見えませんが非常に有益なものだと感じています。